荒野の説法師の道

shadowフランスの人類学者ジョルジュ・バランディエの訃報(享年95歳)に接し、感慨を持った。氏は09年に100歳で没したクロード・レヴィ‐ストロースに比べれば、知名度は圧倒的に低いが、レヴィ‐ストロースとは対立的な政治人類学という稀少分野で業績を残し、主著『舞台の上の権力』をはじめ、いくつか邦訳も出ている。私もかつて読んだ左書の中で、とりわけ印象的な次の一節がある(渡辺公三訳)。

・・権力から切り離された場合には、創造者、「知識人」は、マージナルな存在の度合を深め、荒野の説法師となる。自らの作品を普及させるための手段は、彼らの手中にはないからである。

荒野の説法師!まさに、私の歩んでいる道。ただ、幸い、同書が公刊された1980年当時と異なり、今や「荒野の説法師」にも自らの作品を普及させるための手段はこうしてあるが、その力はあまりにも弱い。しかし、それもまた、同書の次の別節とともに、超克できる。

身を引くことによって離れること―現代社会における今日的な反体制のあり方である―それは接触を絶つ〔電源を切る〕ことであり、直接的な関係、手ざわりのある素材、必要最小限のものでできた狭い世界への回帰である。

2017年6月
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