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2019年3月18日 (月)

言語発展論(連載第23回)

第3部 新・世界言語地図

六 ニジェール‐コンゴ語環

 アフリカ大陸における代表的な語環であるニジェール‐コンゴ語環は、比較言語学上は共通祖語から派生した「語族」として包括されることが多い。これは、アフリカ大陸が19世紀末以降、西洋列強の分割植民地化されていった中で、特にサハラ以南の諸言語に対する比較研究が進展した成果として、部族ごとに膨大な数を擁する諸言語の系統関係が解明されてきたことによる。
 その一つの集大成として、アメリカの比較言語学者ジョゼフ・グリーンバーグにより提唱された「ニジェール‐コンゴ語族」は、その内包語群中「バントゥー語群」がその分布範囲と話者数において圧倒的な比重を占めているため、比較的に共通祖語を再構しやすかったと言える。
 そのため、「語族」としてのくくりが与えられるが、「バントゥー語群」以外の内包語群・諸語については共通祖語の再構が完了していないこともあり、すべてを一つの「語族」と認定すべきかどうかについては議論が分かれている。アフリカにおける言語的多様性からして、完全な再構には極めて困難が予想されるため、さしあたりは「語環」として把握しておいたほうが無難であろう。
 そのように見た場合、ニジェール‐コンゴ語環にはいくつかの共通指標があるが、その代表的なものは名詞の属性分類の細かさである。いわゆる名詞クラスと呼ばれるものであるが、ニジェール‐コンゴ語環を代表するバントゥー語群では10乃至20余りの名詞クラスを持つ言語が多い。
 名詞クラスの豊富さはおそらく、人類の初期言語が事物を指し示す名詞に始まり、動詞や形容詞のような品詞が発達する以前は、ほぼ名詞だけで文を構成していた時代の名残かもしれない。それだけこの語環の古さを象徴しているとも言える。
 このような名詞クラスは名詞に接頭辞として表示されるため、ニジェール‐コンゴ語環では接辞が発達しており、膠着語の特徴を持つ。一方で、ニジェール‐コンゴ語環には声調言語もしくは声調言語の痕跡を残す言語が多いことも特徴である。
 ちなみに、先のグリーンバーグはアフリカ大陸の内陸中央部に分布する「ナイル‐サハラ語族」という語群も同時に提唱しているところ、これと「ニジェール‐コンゴ語族」の内的関連性を想定してより大きな語族を仮説する見解もあるが、立証されていない。なお、「ニジェール‐コンゴ語族」については確定的とみなす場合、これはどの語環にも属しない独立した語族の例となる。

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