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2018年5月12日 (土)

疑問‐探求モデル

 科学的な方法論においては、初めに一個の仮説を推論的に立て、その成否を後から実験や観察によって検証するという仮説‐検証モデルがいまだ圧倒的な通念であろう。このモデルは思考経済的には合理的に見え、かつスマートでもある。
 しかし、仮説には「こうあって欲しい」という科学者の願望が混じりがちである。願望への執着が、結論を先取りしたデータ操作のような不正研究を生み出す温床ともなる。仮説‐検証モデルのそうした陥穽を回避するための代案は、疑問‐探求モデルである。
 これは初めに仮説を立てるのではなく、まず何故に?如何に?という疑問を立て、その疑問の答えを探求するという思考プロセスをたどる。疑問が疑問を呼べば、疑問が解消されるまでそのつど二次的、三次的・・・・の疑問を設定し続けるのである。
 疑問の順次探求に当たっては闇雲な試行錯誤を避けるため、仮説を設定することは許されるが、仮説は一つでなく、すべての可能的な仮説を設定し尽くした上で、実験や観察の結果と最も合致する仮説を選択するのである。
 このような思考法はなんで?なんで?と素朴な疑問を繰り返して親を困らせる子どもに似た素人思考のように見えるが、そのような素朴な探求法こそ、実は最も堅実な科学的方法論なのではなかろうか。これもまた一個の仮説かもしれぬが。

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