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2017年11月12日 (日)

資本主義的貴族制

 このところ、国際調査報道組織の手により、パナマ文書、パラダイス文書と、世界各国の富裕層・大資本がタックスへブンを利用して租税回避行為を行なっている実態が続々と暴露されている。その内容を見ると、現代資本主義社会における致富行為の技術的なカラクリがよくわかる。
 資本主義社会は生まれより能力―金を稼ぐ能力―に基づく社会と喧伝されているわけだが、金を稼ぐ能力に加え、稼いだ金を隠す能力も要求されているということである。それと同時に、これら富裕層・大資本の資産額の天文学的数値、また文書に名前の挙がる一部富裕層の暮らしぶりは、まさに現代の貴族―大資本も法人貴族―と呼ぶにふさわしいものである。
 それも個人的な能力の証だと抗弁したところで、資本主義社会でも共通して認められている相続制度を介して、蓄積した資産は子孫に継承されていくのであるから、経済的には世襲貴族も同然である。考えてみれば、中世以来の王侯貴族たちも、先祖は卑賤であったり、出自不詳であることが少なくないのであって、祖先の特定人物の成功の結果が子々孫々に継承されているだけである。
 そうした構造は、「能力社会」を標榜する資本主義社会でも変わりない。現代=晩期資本主義は、それ以前の勃興・成長期資本主義と比べても、貴族制の顕著化・固定化を進行させるだろう。それによって、資本主義は柔軟性を失い、閉塞した半封建的経済に陥っていくと展望される。

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