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2017年9月 3日 (日)

神道と政治―史的総覧(連載第1回)

小序 

 当連載は、日本の伝統宗教である神道と政治との関わりについて、史的に総覧することを目的とする。先般、筆者は「仏教と政治」に関しても、世界史的な視野から史的な総覧を試みたところであるが、当連載はそれに引き続く姉妹的な連載として位置づけられるものである。
 ただし、言うまでもなく、神道は仏教のように国境を越えて広く普及した国際宗教ではなく、日本の土着的伝統宗教であるので、史的総覧の範囲も日本史的視野に限局される。
 神道は日本人が最も気軽に参拝する宗教施設である神社に象徴されるれっきとした宗教であるが、「お稲荷さん」のようにあまりに日常化しているせいか、それが「宗教」であるという認識さえ持ちにくく、まして「お稲荷さん」を政治と結びつけて考えることなどまずない。
 しかし「お稲荷さん」の由来ですら、歴史的に立ち入れば政治と大いに関係がある。一方で、「神道と政治」と言えば、旧国家神道や現代の議会政治内での神道政治連盟などが想起されるが、こうした近・現代の生々しい政治的動向だけが「神道と政治」のすべてではない。
 神道は、先史日本のアニミズムに源流を持ちつつ、宗教的な祭祀体系として整備される過程で、時代により政治的な浮沈を経験してきており、政治との関わりは複雑微妙である。それを辿ることで、神道というどこかとらえどころのない独異な宗教の新たなかたちも見えてくるように思われる。
 このように、当連載は神道を宗教史的ではなく、あえて政治史的に検証することによって、仏教とともに日本人の精神性を形成してきた神道の姿を改めてとらえ直す小さな試みである。その点で、神道を国粋的に称揚する言説とも、反対に思想的に危険視する言説とも一線が画されるであろう。

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