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2017年7月31日 (月)

オセアニア―世界の縮図(連載第19回)

第二部 現況~未来

(8)政情不安事例③:ソロモン諸島

 ソロモン諸島はメラネシア系住民を主体とする島嶼国家かつ多部族多言語社会であり、1978年の独立以後も、国家の統合性に困難を抱えていた。そうした中、1990年代までに主島であるガダルカナル島への隣島マライタの人口増による移住者が急増、先住者との間で土地などの権利をめぐり紛争が多発した。
 この紛争はガダルカナル先住者が組織した民兵団「ガダルカナル革命軍」によるマライタ移民攻撃へとエスカレート、対抗上マライタ移民も民兵団「マライタの鷲軍」を組織して対抗したことから、内戦へ突入した。内戦は2000年に頂点を迎え、現職首相がマライタの鷲軍に誘拐される事態にまで立ち至った一方、数度の和平協定も実効性を持たないまま、03年まで内戦は続き、国の法秩序は崩壊の危機に瀕した。
 そこでソロモン諸島議会は外国の介入援助を要請、ここに至り、オーストラリアとニュージーランドが主導する「ソロモン諸島地域支援ミッション」が組織され、約2000人の国際警察軍部隊がソロモン諸島に進駐した。これを契機に、ようやくソロモン紛争は終息に向かった。
 以後、国家の統合性を目指した国家再建が行なわれていくが、政情不安は06年に再び表面化する。これは時の首相が中国人実業家から議会での選出票を買収するために収賄したとの疑惑を持たれたこと契機とし、ガダルカナル島にある首都ホニアラではチャイナタウンが集中的に襲撃される反中暴動に発展、チャイナタウンがほぼ焼失した。
 この事態は再び国際警察軍部隊の増派と首相の辞任により終息したが、現在も台湾と外交関係を維持しているソロモン諸島における21世紀初頭のこの一件は、中国系資本のオセアニア進出とそれに伴う中国系移民との摩擦という近年の現象を先駆ける事件であったと言える。

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