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2017年3月 1日 (水)

アフリカ黒人の軌跡(連載第1回)

小序

 本連載は、いわゆる「アフリカ史」ではない。「アフリカ史」という場合は、広大なアフリカ大陸全体の通史であり、そこにはエジプトやエチオピアといった古国の歴史も包含されることになる。しかしここで言う「アフリカ黒人」とは、旧来の人種分類上はネグロイドに属する諸民族を指す。
 従って、旧称いわゆるセム系/ハム系諸民族によって築かれ、今日でもその系譜を引くエジプトをはじめとする北アフリカやエチオピア、ソマリアなどは、「アフリカ黒人の軌跡」の舞台とならない。その一方、アフリカ大陸にとどまったアフリカ黒人はもちろん、大陸から南北アメリカ大陸やカリブ海方面に奴隷として連行され、定着したアフリカ黒人の軌跡にまで及ぶことになる。
 もう一点、「歴史」でなく、「軌跡」とした理由は、アフリカ黒人は一部の例外を除き、長い間無文字・口伝社会を維持したからである。無文字のまま相当な高度文化を築いた民族も存在する。このような場合、たとえ歴史はなくとも、たしかな軌跡はある。 
 人類学的知見によれば、最初の現生人類はアフリカ大陸で誕生したが、その後「出アフリカ」組と「残アフリカ」組とに分かれたとされ、後者から多様に派生したのがアフリカ黒人系諸民族と見られている。そうした意味で、アフリカ黒人は、歴史は浅いが人類としての軌跡は最も長い。
 そのような軌跡を時代的に追うことが、本連載の目的である。それを通じて、アフリカとアメリカの両大陸を股にかけて存在するかれらの史的動態を明らかにしてみたいと思う。それは同時に、先行の『世界歴史鳥瞰』ではほとんど割愛せざるを得なかったアフリカ黒人というアクターを改めて視野に捉え直す試みでもある。

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