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2015年5月17日 (日)

犯罪精神医学事始(連載第3回)

2 犯罪精神医学の対象②

 前回、犯罪精神医学の対象として述べたものは、成人を前提とするものであったが、犯罪精神医学の対象は少年非行及び少年犯罪にも及ぶ。法学的には犯罪行為と少年非行は厳格に区別され、後者は司法手続きも福祉的配慮のなされた家庭裁判所の審判により行なわれる。しかし、医学的には犯罪と非行を区別する必要はなく、いずれも触法行為として包括される。

 少年の触法行為については、刑事罰を科する場合でも、不定期刑のように矯正教育に重点を置いた刑罰が用意されているため、医学的な関与の余地は成人より高くなる。もっとも、精神的な成長の途上にある少年の触法行為は、本格的な精神疾患やパーソナリティ障碍よりも、発達障碍や知的障碍など発達に伴う各種障碍の関与が疑われることから、小児科医や発達心理学者等の参与も欠かすことができない。

 犯罪精神医学の対象となる少年の触法行為は、成人の犯罪行為よりも広い範囲に及び、厳密にはそのほぼすべてのケースが対象となり、特に少年院または少年刑務所における教育的処遇の中での精神保健的な関与は有益である。しかし、司法実務との関わりの強さから対象を絞り込めば、ほぼ次の三種に限定されるだろう。

Ⅰ 病理性暴力行為
成人の病理性暴力犯罪に相当するものである。量的には希少であるが、嗜好殺人(人を殺してみたかった)のようなものがここに含まれる。性暴力はⅡの性的触法行為に含まれる。

Ⅱ 性的触法行為
性暴力のような加害者型触法行為が中心となるが、成人の買春相手となるような被害者型触法行為についても、ケースによっては精神医学的な対応が必要な場合があり得る。

Ⅲ 準成人犯罪
成人に近い年長の少年が成人並みに常習犯罪やアルコール・薬物依存性犯罪を犯すこともあり得るが、このような場合は、少年の発達上の特性を考慮しつつ、成人犯罪に準じた考察が必要となる。

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