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2014年5月25日 (日)

赤のアメリカ史(連載第6回)

二 白人侵奪国家の樹立

ホワイトオンリー国家
 アメリカ独立戦争の結果成立した新生アメリカ合衆国は、通説的な史観によれば、同時代のフランス革命と並び、世界歴史を変えた輝かしい立憲革命の成果として賞賛されるが、インディアンにとってのアメリカ合衆国は、かれらの土地に一方的に樹立された全く理解し難い白人侵奪者の部族連合体であった。
 もっとも、13植民地の対等な連合によって結成されたアメリカ合衆国の独特の政体は、インディアンのイロコイ部族連合の「民主的」な仕組みを参照したものだという説もある。しかし今日の研究ではそうした影響関係は明白に証明されず、インディアンの部族連合体も近代的な意味での民主制とは無縁の伝統的な長老合議制の域を出るものではなかったとされる。
 結局、アメリカ白人開拓者たちは、最初の植民からおよそ200年近くをかけ、武力や威嚇をもってインディアンの土地を侵奪し、自身の独立国家の樹立を達成したことになる。
 この国家の特徴は、初めから人種的な線引きがなされていたことである。つまり、アメリカ合衆国は白人だけの国家であった。なるほどアメリカ独立宣言には「すべての人間は平等に創られ、創造主によって、生存、自由そして幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている。これらの権利を確実なものとするために、人間の間では政府が設立されるが、その正当な権力は被治者の同意に基づく。」と謳われているが、この章句で人間とは専ら白人を指しているのであった。
 このことは、独立後1790年に制定された帰化法によってはっきりする。そこには、帰化の条件として「自由白人(フリー・ホワイト)」であるべきことが明記されたのである。つまり、赤いインディアンと黒いアフリカンはアメリカ国民たり得ないということである。現代風に言えば、近代的なアメリカ合衆国は人種隔離的なアパルトヘイト国家として出発したのである。
 ちなみに、今日に至るまでアメリカで市民の銃武装の権利の根拠として引用される憲法修正第2条は、宗主国イギリスとの戦い以上に、インディアンとの絶え間ない戦争を通じて成立した合衆国の由来をよく物語っている。インディアンの奇襲には個々人が武器をもって対抗すべしという習慣の名残である。

アメリカ合衆国建国者・初代大統領として日本でもよく知られているジョージ・ワシントンは「姿形こそ違えど、インディアンとオオカミはどちらも猛獣である。」と断言し、インディアン絶滅作戦を「正義」と言って憚らなかった。実際、彼は独立戦争に際してイロコイ族絶滅作戦(サリバン遠征)を命じたことから、イロコイ族からは「町の破壊者」とあだ名され、このあだ名はその後イロコイ族の間でアメリカ大統領の一般的な呼び名にまでなった。こうしたワシントンのインディアン観は後代の大統領にもしっかりと受け継がれていく。

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