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2012年4月20日 (金)

犯罪と非処罰(連載第12回)

11 矯導学校について

pencil「矯導学校」とは、重大な非行をした少年に対して矯正プログラムと一般の教科学習とを両立的に課す寄宿制の特殊な学校である。従って、「矯導学校編入」は「非処罰」の構想の下における少年法上の保護処分としては最も重いものとなり、対象者は重大な非行をした者に限られる。

pencil前章でも先取りしたとおり、「矯導学校」は少年院とは異なり、学校教育法に根拠を持つ正規の学校として位置づけられる。非行をした少年を少年院に収容して正規の学校課程から脱落させてしまうことは、将来の就労可能性を狭めると同時に、劣等意識を植え付け、かえって成人後により本格的な犯罪に走っていく因子を作り出す逆効果であるから、非行をした少年に対しては適切な正規の学校教育の枠内で矯正を促進することの保障が不可欠なのである。
 従って、「矯導学校」の教員は一般の学校教員と同様に、教員養成校を通じて養成される「教諭」としての地位を持つ。ただ、この職は矯正に関する専門的な知見を必要とするため、一般の教諭とは別枠で「矯導学校教諭」の免許制度を創設する必要はある。
 ちなみに、現行少年院で矯正教育に当たるのは「法務教官」であるが、これは「教諭」とは異なる独自の法務専門職であって、「教官」とはいうものの、実態としては刑務官に近い。
 そこで、成人矯正において「刑務官から矯正官へ」の転化が目指されるように、少年矯正においても「法務教官から矯導学校教諭へ」の転化が目指されるのである。

pencilさて、「矯導学校」は対象者の特性に応じて、非行傾向は強いが病理性は弱い者を対象とする「一般矯導学校」と病理性が強い者を対象とする「特修矯導学校」の二種に分かれる。
 いずれであっても、「矯導学校」における教育は、通常の学校課程のように時間割に拘束されず、各生徒の状況に応じて、フリースクール方式の徹底した個別学習メソッドで行われる。とりわけ後者の「特修矯導学校」は成人の場合における「第三種矯正処遇」に相当するもので、そこでは児童精神科医や臨床心理士も加わった精神医療的対応がなされる。
 こうした「矯導学校」も「学校」である以上、学年別に編成され、さしあたりは「初等部」「中等部」「高等部」に分けられるが、矯導という特殊な教育の性質上、「高等部」の後に学年制によらない「続高等部」を設け、場合によっては20歳を超えて継続教育ができるようにすべきである。
 そこで、裁判所が対象者を「矯導学校編入」に付するときは、学校種別と学年とを指定して言い渡す必要があるが、学年については原則として対象者が通常の学校課程において所属すべき学年を指定する。例えば、中学三年生であれば「矯道学校」でも中等部三年に編入するのである。
 ただし、中卒者や高校中退者については、実質的な知的レベルに応じて高等部以下のいずれかの学年を指定するか、上述の「続高等部」を指定する。高校既卒者については上述の「続高等部」を指定する.。

pencil「矯導学校編入」の期間に関しては、成人矯正の場合以上に少年の発達に応じた短期集中処遇が必要であるから、例えば「一般矯導学校」では6ヶ月以上3年以下、矯正に時間を要する「特修矯導学校」でも2年以上5年以下とする。
 こうした処遇期間は裁判所による処遇言渡しの段階では定めず、矯導学校側が上述の年限内で、対象者の改善の度合いや帰住先の家庭環境などを勘案して修了の時期を判断する。
 さらに「矯導学校」を修了した後、2年間は「継続観察期間」として、担任教諭が修了生に対する家庭訪問や面接を通じたアフターサポートを行う。また、帰住先の家庭環境が良好でない場合は、前章でも取り上げた「未成年者福祉センター」への委託保護も行う。

pencil問題となるのは「矯導学校編入」が可能な下限年齢であるが、これについては非行の早発化という現象も考慮に入れ、10代の最年少である10歳からとしておいてよいであろう。
 ただし、13歳未満の年少少年の「矯導学校編入」は病理性が強く、上述の「特修矯導学校編入」が相当な場合に限るべきである。従って、「矯導学校」の初等部は「特修矯導学校」のみに設置されることになる。
 なお、「矯導学校」に在籍可能な上限年齢は満26歳となる。これは少年法適用の上限年齢として先に示した21歳の者が「特修矯導学校」編入の処遇を受けた場合における最長期間満了年齢に相当する。

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